きょうのナナバン

140字以上のあれやこれ。

チリコンカンとちりとてちんは語感がかわいい

スパゲッティーのトマトソースを思い浮かべるとき、僕は真っ先にミートソースと出くわす。最初の村人みたいに、彼はいつもそこにいる。それから思考の回廊をしばらく進むと、ナポリタンが出てくる。旧友のような顔をして。しかし僕はどちらもあまり好きではない。ナポリタンを懐かしいと思ったことは一度もない。はじめて行く喫茶店の内装が、昭和の気配を漂わせていると懐かしさを覚える程度には昭和に片足を残して生まれてきたけれど、喫茶店ナポリタンを食べようとは微塵も思いつかない。子どものころ、道ばたでレモネードを売らなかったように、僕にはナポリタンの記憶が欠片もない。

「ケチャップ的」な味が苦手なのかもしれない。殊に火の通ったケチャップ味が。何となく必要な気がして冷蔵庫にケチャップは置いてあるものの、正直いつのものかわからない。なかなか減らない。完全に冷蔵庫の彩り要員である。

最近はダイエットをしているので昼ごはんはサラダ中心なのだけど、毎日だと飽きるから時折スパゲッティーを食べる。袋麺のインスタントラーメンみたいな感覚で、市販のパスタソースを掛けるだけの手軽な食べ方をする。

たまのことなのでちょっとくらい値段が張るのは気にしない。100グラムの麺でしっかり満足感を得られる味がいい。スーパーマーケットでいつでも買えると便利だ。というのでいろいろ試した結果、創味食品の「ハコネーゼ」シリーズがいまのところパスタソースランキング(俺調べ)上位を占めている。

このまえボロネーゼを食べたら「やはりトマト味のスパゲッティーは好きじゃないな」と思った。ところが「焦がしにんにくの完熟トマトソース」を食べたらとてもおいしかった。残ったソースをスプーンですくって食べた。

考えてみると、僕は生のトマトもブイヤベースもラタトゥイユも好きだった。トマト缶もよく買ってきて使う。

そんなことを考えていたせいか、きのうは夕飯にチリコンカンを作った。冷蔵庫にささやかな彩りをもたらせていたケチャップも入れた。なかなかいい味に仕上がった。

好きと嫌いは、けっこう近い。

おしゃれ番長襲名式

きのう通りがけに見かけた襟付きの白いシャツが、この季節の普段着にちょうどいいような気がした。

一日経ってもやっぱりいいなあと思ったから、買いに行くことにした。

買うつもりになって店で見てみると、目当てのシャツは綿素材の風合いがザックリとしていて、確かに夏のカジュアルな一着に良さそうだった。涼しげだ。俺の見立てに間違いはなかったぜ、とほくそ笑んだ。(気分は)

けれども、燦燦と照りつけていた購買欲は突如として黒雲に覆われる。奴はボタンダウンシャツだった。

持っている服のラインナップを思い出すと、僕曰く華やかな、人曰く派手な色柄物のシャツが多く、半分くらいはボタンダウンだ。ボタンダウンシャツが嫌いなわけじゃない。むしろ今まではわりに好んで着てきた。

子どものころに好きだった昆虫が、大人になって触れなくなるように、服の好みも変わるのかもしれない。たった数年で変わることもあるのだろう。僕は昔から昆虫が苦手だけど。

普段着の白いシャツに、ボタンダウンの組み合わせが嫌なのかもしれないと思った。

僕としてはフォーマルな印象のある白いシャツを買いたかったのだろう。素材でカジュアルさを出すのは望ましかったけれど、そのままのシンプルなシルエットで普段着として着たかったのだ。なんならボタンは一番上まで留めて着たい。気を利かせたボタンダウンのカジュアルさは、今の僕には要らなかった。

とかなんとか考えていても、目の前でボタンが無くなるわけじゃなかった。

ともかく、目当てのシャツは買うことを見送った。生地の風合いは良かったのになあ、と残念に思っていると、隣にも白いシャツがあった。少しサラッとした風合いではあるものの、ノーマルな襟の白いシャツが置かれていた。どういうわけか値段が安い。先ほどまで見ていたシャツの半額だ。

僥倖、と思った。

最近少し瘦せたから、元々着ていたLサイズにしようか迷ったけれど、XLサイズにした。汗だくだったから試着は遠慮した。オーバーサイズにも程があったらどうしようと一抹の不安が過る。しかし男には勝負に出るべき場面がある、ような気がしなくもない。

帰って着てみるとちょうどだった。僕は勝負に勝った。(自分の胸囲とか覚えておくといいなと思った)

昔アラブの偉いお坊さんが

コーヒーをよく飲む。人と比べたことはないけれど。

核戦争後の荒廃した世界であっても、人類が脳を残して機械化した世界であっても、麦茶とビールとコーヒーがあれば僕は愉快に生きていけると思う。

しかし珈琲と書くのは少し気恥ずかしさを覚える程度に、コーヒーにこれといったこだわりはない。なんでもおいしいし、それで満足する。缶コーヒーはあまり好まないけれど、ペットボトルコーヒーはわりと飲む。バニラっぽい香りが好きだったり、酸味のあるものが好きだったり。それが何という名前の豆なのか、あるいはブレンドなのか、知らない。ちょっと覚えようとしても、すぐに忘れる。

夏場は食後にアイスコーヒーを飲みたくなる。氷を入れたコーヒーは世界のスタンダードではない、という話をいつだったかどこだったかで聞いた気がするけれど、暑い夏に、氷をたっぷり入れたグラスで飲むアイスコーヒーは最高においしいと僕は思う。

でも某コーヒーチェーン店では「氷少なめで」と注文する。クラッシュアイスが好きじゃないんだと思う。アイスコーヒーは大きな氷が入ってこそかもしれない。

ふだんは「楽だから」という理由で、水に溶けるインスタントを使ってアイスコーヒーを作るのだけど、きょうはふと思い立ってドリップコーヒーで作った。いつ買ったのだったか。ずっと冷凍庫に入れていたコーヒー豆だった。

すこぶるおいしかった。

夜もドリップしてアイスコーヒーを作った。時間は多少かかるけれど、フルマラソンの給水所じゃないんだから、急ぐなよ、別にすぐ飲めなくてもいいじゃないか、と思った。